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第30話 いきなり

last update Last Updated: 2025-10-16 06:00:00

GWが明けて、ようやく日常生活に戻った。

とは言え、ココに越して来てからは、初めての出勤。

「じゃあ、行ってらっしゃい」とヒロさんを先に送り出す。

「一緒に行きたいな」とヒロさんは言う。

「う〜ん、だって」

「だよな、じゃあ気をつけて来いよ」

「うん、ココからは近いし、戸締りしたら行くから」

「うん、じゃああとでな」

「は〜い」

「あっ」ともう一度振り向いて、キスをした。

「あ」

「コレだけは、忘れちゃいけないから」と……

「ふふ」

ヒロさんの唇をそっとなぞって口紅が付いてないか確認した。

「じゃあ」と手を振って頭ポンポンして行った。

「ハア〜朝からトロける〜」

私も戸締りをして、すぐに出た。

都心部に近いせいか、電車が混んでいる。

でも、数分の我慢だからと乗り込む。

乗ってから気づいた、しまった! 女性専用車両じゃなかった。

いつもなら女性専用車両に乗っていたのに。

駅が変わったことと、GW明けと言うことでか、

やはりボーっとしていたのだ。

周りには、カップルで乗ってる人も居るけど……

しまったと思った。

駅は、2駅だけだからと我慢我慢。

1駅目でドアが開いたが、降りられないほどの人。わざわざ人を掻き分けて降りると、また次の電車になってしまう。

そして、ようやく最寄り駅。

降りる人が多く、私も流れに乗って降りることが出来た。

と、思ったその時、

降りる寸前に、ドア付近で誰かにお尻を触られた。

触られたと言うより、ぎゅっと掴まれた。

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